「麻」の生地は、
現代の生活の中で、衣料・雑貨・インテリアなど、幅広い用途に使われています。
その生地の特性から、
使ううちに柔らかさが増して、手触りが変わっていくのが良い。
乾くのが早くて使いやすい。
布の素材感が美しい。等と称されており、
「麻」は人々に好まれている素材のひとつと言えるでしょう。
日本で「麻」と表記され、呼ばれているこの名、
実はいくつもの植物(素材)を総称した呼名です。
「麻」という言葉の正体は、それぞれ異なる植物から繊維質を取り出したものであり、
本当は異なる素材のことを、日本ではあまり意識せずに「麻」と呼んでひと括りにしています。
大した違いは無いだろうと切り捨てられてはそれまでですが、
異なるものには、それぞれの製法や生かし方があり、
それにまつわる文化や物語があり、
美しさの可能性もそれぞれに異なる土台を持っているはずです。
昨今 人々に親しまれている「麻」について、
そのものの正体へもう少し近づこうとすると、
そこには日本の染織文化が持つ、奥深い話を垣間見ていくことになります。
少しでもご興味をもって下さった方は、どうか続きへとお付き合い下さい。
追記
海外では、素材によって明確な名称が用いられることが普通だといいます。
例えば英語で「麻」と言おうとすると、それにあたるものが無いことに気付きます。
まずはここに、特に現代の日本で身近な「麻」を3点上げます。
これ以外にもアジア圏にはサイザル麻、パイナップル麻などがあります。
(「○○麻」とつくような植物は、幾種もあります。)
亜麻/ linen (リネン)
大麻/ hemp (ヘンプ)
苧麻/ ramie (ラミー)
(つづく)