江戸やその昔、龍は水を司る神として信仰されてきたといいます。
雨龍(あまりゅう)と呼ばれるツノのない龍は、
みずちとも呼ばれる、龍の幼生。
木陰や人気のない岩場を好むと伝えられてきたそうです。
型染めの文様に、多く登場する雨龍は、
農耕に欠かせない天からの雨を、古の人々が求めた時、
象徴として見出だされた神のかたち、
とも言えるかもしれません。
最近、小さなちいさなハギレに始まり、その後
運よく大きさも種類も豊富に、江戸や明治の型染め布を手にすることができました。
最初は染めや型の技術にばかり感心していましたが、
よくよく教われば、気付くことすらできなかった
かたちや意味が現れてきました。
文様の意味や名前というものは、果てのない分野に思えていましたが、
こうしてひとつふたつと辿っていくのは、やはり楽しいものです。
日本にあった、沢山の言葉(文様)から、
日本にあった粋や祈りの文化が少しずつ見えてきました。
それが何だと笑われるかもしれませんが、
目に見えるもの、見えないもの、
それらを完結したかたち(型/文様)にした繊細な感性や創る力は、
凡人ひとりでは想像しえない世界まで、我々に見せてくれるような気がします。
ご興味のある方、まずは見に来てみてください。
明日19日の有楽町にもいくつか持っていきまーす。
(教草もまだまだ入口です、どうぞお手柔らかに……)
※参考文献「江戸文様こよみ」熊谷博人著 (2015/朝日新聞出版)