実用には向かなくなった、割れたり欠けたりした漆の椀。
大きさからして、吸い物用の羹椀(あつものまり)のようです。
木地と漆の間に、布目は見当たりません。
気軽(気楽)に作られたものなのでしょうか。
妙に惹かれるのは、
点々と遊ぶように描かれた色漆のせいか、
欠けた姿がどこの何とも違うからか、よくわかりません。
きちんとした骨董の世界を知る方や、
長年古物の世界にいらっしゃる方は、
最近の若い人の感覚、よくわからない。
とおっしゃることも。
確かに、よくあるもの(あったもの)を特別そうに扱う様や、
ただ状態の悪いものを、味があるとか、資料になると思い込んでいる様は、
無知にも滑稽にも、可哀想にも見えるのかなと思います。
何より、そんなものが売れるのか?という疑問が一番大きいかもしれません。
言うまでもなく、教草の周囲に怖い先輩はいらっしゃいません。
新米者は、ただモノを通して試していく他なく、
周囲には商売が回っているか、心配して声をかけて下さる方ばかり。
けれども本当はそれだけでは意味が無く、
少なくとも、例えばこんなことを書くよりも、
この椀や何かについて正しく調べるほうが大事で、商売にも繋がります。
(どなたか、江戸明治の漆や木工品について、良い本がありましたら御教示ください。)
ただのぼろぼろか、それとも。
もしかすると数年数ヵ月(数日?)後に、
何故これをと、独り笑うのかもしれませんし、
こういうのを買って遊ぶのが愉しいと、改めて思うのかもしれません。
そんな可能性も含めて、
無知な私は、愛でる気持ちいっぱいで手に取りましたが、如何に。
口径 約11.2cm
高さ 約5cm
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