九州の対馬で織られ、仕事着として使われていた対馬麻。
大麻の糸と、木綿の糸の交織(こうしょく)です。
写真の2枚は、それぞれ仕事着の袖だったところのようです。
日本中で衣服や生活道具の一部等に使われていた大麻繊維は、
太古から用いられてきた素材のひとつです。
江戸に入り、木綿の栽培と使用が盛んになった後も、
日本の麻は夏の着物に限らず、蚊帳生地や厚手の反物などとして、
手績みの糸で織られ、戦前まで用いられ続けてきました。
(戦後、栽培を規制されことにより、暮らしの中から姿を消していったそうです。)
対馬麻は、素材に用いている大麻繊維の性質の影響により、
使用するにつれて、ふっくらと柔らかくなる生地です。
そうして味の出た状態に、特に惹かれる方が多いように思います。
(勿論、和綿の味もあってこその、この風合いですが。)
素材と手仕事の、生き生きとした力。
リネン生地にも似ている、ようで、
大陸の木綿織物にも似ている。
そんな不思議な布です。
※写真、非常に分かりにくくて申し訳ありません。
実物を見に、ご来店頂けましたら幸いです。