実用には向かなくなった、割れたり欠けたりした漆の椀。
大きさからして、吸い物用の羹椀(あつものまり)のようです。
木地と漆の間に、布目は見当たりません。
気軽(気楽)に作られたものなのでしょうか。
妙に惹かれるのは、
点々と遊ぶように描かれた色漆のせいか、
欠けた姿がどこの何とも違うからか、よくわかりません。
きちんとした骨董の世界を知る方や、
長年古物の世界にいらっしゃる方は、
最近の若い人の感覚、よくわからない。
とおっしゃることも。
確かに、よくあるもの(あったもの)を特別そうに扱う様や、
ただ状態の悪いものを、味があるとか、資料になると思い込んでいる様は、
無知にも滑稽にも、可哀想にも見えるのかなと思います。
何より、そんなものが売れるのか?という疑問が一番大きいかもしれません。
言うまでもなく、教草の周囲に怖い先輩はいらっしゃいません。
新米者は、ただモノを通して試していく他なく、
周囲には商売が回っているか、心配して声をかけて下さる方ばかり。
けれども本当はそれだけでは意味が無く、
少なくとも、例えばこんなことを書くよりも、
この椀や何かについて正しく調べるほうが大事で、商売にも繋がります。
(どなたか、江戸明治の漆や木工品について、良い本がありましたら御教示ください。)
ただのぼろぼろか、それとも。
もしかすると数年数ヵ月(数日?)後に、
何故これをと、独り笑うのかもしれませんし、
こういうのを買って遊ぶのが愉しいと、改めて思うのかもしれません。
そんな可能性も含めて、
無知な私は、愛でる気持ちいっぱいで手に取りましたが、如何に。
口径 約11.2cm
高さ 約5cm
● sold
表裏に、異なる型染めがなされた一枚。
片面は、中くらいの花柄文様。花弁や葉の形も丁寧に描かれています。
もう一方は、点々とした細かい地紋に、
小さく蝶や草にも見える、花のような文様を散らしています。
幕末や明治頃の型染めは、片面染めであったり、
両面染めであったりはしますが、表裏に全く異なる柄が染められたものを、
私は見たことがありませんでした。
この裂は、片面を江戸時代に染め(細かいほう)、
明治に反対側(中くらいの花柄)を染めたものだそうです。
江戸に型染めを施した後、
おそらくそのまま、反物の状態で眠っていたのでしょうか。
明治になり、売れ残っていたその木綿布を用いて、
時代に合った新しい柄を染め直したというわけです。
この端裂を眺めると、他ですぐには見かけない柄や、
年月を過ごした雰囲気に、ぐんと心を掴まれるのですが、
そういった由来(少し大袈裟)を聞いてこそ、
この布を少し知ることが出来たと思えます。
他にも沢山の話(経緯)を含んでいるのでしょう。
裂や布の魅力、古いものの楽しみは、
こういう所にあるのかもしれません。
「時代跨ぎ(またぎ)型染め」としましたが、
古いものはなんでも時代をまたいでいるので、
間抜けな名を題してしまったかもしれません。
しかし思わず、そう呼びたくなる一枚です。
● sold
明末頃の染付磁器。梅の木文様。
民窯で日本向けに焼かれたもの。
こんな薄さと、硝子のような手触りに、私は初めてお目にかかり、
最初何だかわからず、緊張しました。
人様に聞いた話では、
なおしはおそらく、江戸の中期後期から明治までに、
施されたものだろうとのこと。
人様には色々聞いたものの、
まだまだ陶磁器のことを自分の口から話すことができません。
もっと色々、正しくわかるようになりたいのですが。
(裂も漆も木も……)
古いものは似たものがすぐ見つかることもあれば、
なかなか特徴の同じものに出会えないこともあります。
この人はどうでしょうか。
本年の正月、この皿を取り皿にしておせちを食しました。
直径 約14.8cm
高さ 約3cm
● sold
乃木神社へのご来店、誠にありがとうございました。
布のためにわざわざ来てくださるお客様がいることを、大変嬉しく思っています。ありがとうございます。
乃木では、全体の出店数は20軒程と小さめながらも、
大江戸(有楽町)に劣らず、しっかり色々な品物を持っていくよう心がけています。
ゆっくりご覧になりたい場合は、是非乃木へ。
次回の出店は 3/5(土)青山 Weekly Antique Marketと、
6(日) 有楽町 大江戸骨董市 です。
ご希望の分野(木綿、麻、小さなハギレ、更紗や型染め、着物……など)が
ありましたら、お気軽にご連絡ください。
info@oshiegusa.com
(1~2日前までにご連絡頂けると尚有り難いです。)
どうぞよろしくお願いいたします。
写真は外国の縞木綿。所々にシミあり。
淡い色糸は、草木染めの色だろうと予想しています。
緯糸は双糸、江戸~明治に日本へ渡ってきた可能性があります。
しっかりとした密度で織られており、頼もしい手触り。
春の草木を思わせる色合いに、心安らいでいます。
裏側
江戸の小袖裂。
この一枚の端切れに、当時の小袖に用いられていた染織技法を、
幾つか垣間見る事ができます。
もともとは真っ白だったはずの、絹の綸子(りんず)地に、
ふっくらした絹糸の刺繍と摺ひっ田、墨を併用して文様を表しています。
技法の組み合わせ方や、そこから生まれる強弱とした表現に、
いわゆる 日本的な美意識と呼ばれるものが活きているのを、
眺めながら ひしひしと感じる一枚です。
が、昨今、以前に比べると価格が落ちているようです。
叩き売る位なら、非売品にしたいのですが……
それを実行していたら、麻も型染めも、殆どの品が非売扱いとなり、
あっという間に破綻してしまうのが、悩ましい所です。
(この一枚位なら、きっと堪えられるのですが……)まずは
不当に高くなく、裂にも失礼でない値段を付けて
露店に並べます。
裏側にも美しさを感じるのは何故でしょう。
刺繍や染織の参考にもなる一品。
※裏側に一ヶ所当て布が付いています。
江戸 おそらく中期頃
幅 約28cm
たて 約23cm
参考:鐘紡コレクション1 小袖一 (昭和62年 毎日新聞社)
紅花染めに続いて、こちらも無地の麻布。
いつもご用意している日本の古布ではなく、
中国か韓国で近現代に織られた、おそらく苧麻繊維の、真っ白い麻布です。
薄く軽く、光を透けて通します。
糸は手績み(てうみ=人の手先で靱皮繊維を繋げて、糸とすること。)で、
古い布と比べると、稀に織りが荒くなっている所も、少ーしあります。
写真はいずれも、水を通していない状態です。
一度軽く洗うだけで少し表情が出るので、
使いながら、自然素材の味を楽しめる品だと思います。
※出店のときは、サンプルとして水を通したものもご用意していきます。
幅約39cm
現在庫は10m以上あります。
1メートル単位での販売となります。
大正頃の、紅花染めの麻布。
経緯ともに、手績みの麻糸で織られた生地です。
襦袢をほどいたものなので、
縫い跡の穴や、シミがあります。(水洗いしましたが、落ちなかったところ。)
紅花染めの麻襦袢には、
大麻と苧麻の繊維を、経糸と緯糸でそれぞれに使っているものも多く、
この生地に関しても、手触りでは勿論、眼で正確な素材の判別ができません。
が、ルーペで見た私見では、経緯ともに大麻繊維なのかなと思っています。
こちらは大正頃のものですが、古来からの草木染めの裂も、
こんなにも色彩を放っていたのかと想像すると、
眩しさが増すようです。
幅 約33cm
長さ 約102cm
● sold
変わったもののご紹介です。
相撲力士の名を、文様に散らした江戸期の型染め。
(おそらく、藍の浸し染めによる両面染め。)
一部調べてみると、
荒馬、竹破、雲龍、境川、源氏山……は、
嘉永や安政までには、既にあった力士名でした。
手拭いか浴衣地の一部だったかもしれません。
相撲も歌舞伎と同じく、
江戸時代には庶民の娯楽となった文化のひとつ。
なかなか渋い この型染めのデザインにも、野暮ったさとは離れた、
粋で気張った雰囲気を感じます。
シミや小さな穴、折り山のヤケ、ミミにヤブレもございます。
綿はとても柔らかな風合いで、
染めは薄くなっているところも多々ありますが、色はとても綺麗です。
手紡ぎ木綿、江戸(幕末)
幅 約33cm
長さ 約60cm
価格:お問い合わせください
※2/21の有楽町大江戸骨董市に持っていきます● sold
無地広東形 猪口。
既にご売約済みの品物ですが、
気に入っていたのでご紹介します。
先輩方の経験値(知)を拝借しながら、
伊万里だろうという見解に至りましたが、焼成の具合からか、
一般的なものに比べると、色みに特長のある猪口でした。
石のような色、と言ったら笑われてしまいますが、
少し緑がかった色です。
そして、底の分厚い作り。(全体的にも厚い。)
形自体はすっとしているのですが、
上部にはゆったりとした歪みがあり、
良い意味で無骨な、おおらかな器だと感じます。
この猪口でお茶を頂きましたが、
なんとも安らいだ気分になりました。
口径8.5cm 底径4.5cm 高さ6cm
口縁部にホツ3ヶ所。
高台脇に窯キズ1ヶ所。
江戸中期頃
● Sold
漆塗りの香合。
朱色の漆の上に、おそらく金箔と、黒漆か何かで、
表情を重ねています。
重ねたり、削ったり……という作業の跡が、
油彩画のように見え、好き嫌いこそあれ、
感覚に響きやすそうな所に惹かれました。
鮮やかな朱塗りの盆にも、
藍染の木綿や、生成の麻布にも、
とても似合う一品。
似た塗りものはないかと本をめくりましたが、見いだせず。
もとの持ち主も、詳細はご存知ありませんでした。
時代、詳細不明。
● Sold
九州の対馬で織られ、仕事着として使われていた対馬麻。
大麻の糸と、木綿の糸の交織(こうしょく)です。
写真の2枚は、それぞれ仕事着の袖だったところのようです。
日本中で衣服や生活道具の一部等に使われていた大麻繊維は、
太古から用いられてきた素材のひとつです。
江戸に入り、木綿の栽培と使用が盛んになった後も、
日本の麻は夏の着物に限らず、蚊帳生地や厚手の反物などとして、
手績みの糸で織られ、戦前まで用いられ続けてきました。
(戦後、栽培を規制されことにより、暮らしの中から姿を消していったそうです。)
対馬麻は、素材に用いている大麻繊維の性質の影響により、
使用するにつれて、ふっくらと柔らかくなる生地です。
そうして味の出た状態に、特に惹かれる方が多いように思います。
(勿論、和綿の味もあってこその、この風合いですが。)
素材と手仕事の、生き生きとした力。
リネン生地にも似ている、ようで、
大陸の木綿織物にも似ている。
そんな不思議な布です。
※写真、非常に分かりにくくて申し訳ありません。
実物を見に、ご来店頂けましたら幸いです。
目跡3ヶ所ずつが残る、小皿2枚。
写真では分かりにくいですが、2枚の色みが少々異なっています。
色が明るいほうの1枚、口縁部にソゲあり。(1.5×0.3~0.6cm程)
元は灯皿だったのかもしれませんが、
お漬物や玉子焼きなど、野菜やちょっとした副菜が映える器です。
先日の有楽町で並べたのですが反応が薄く、
以前、民芸の器を少しだけ扱っていた頃のことを、ちょっと思い出しました。
その時確か、真っ黒い釉の小皿が、なかなか動かなかった。
色が暗いお皿だと、食卓が重くなるとご心配の方が多いのでしょうか……?
結構格好良いというか、引き締めてくれると思います。
私にとっては重宝する、地味なのに個性のある器です。(数回使用しました。)
産地不明で名声もありませんが、
キレイで均一なものより、歪みや個性を楽しみたい方に。
まずは和食の食卓で如何でしょう。
大きさ 約10cm×2.5cm。2枚組。
● Sold
明治頃の日本の雑器。
李朝を模して作ったのでしょうか。
グレーがかった釉の下に、所々ほんのり淡い紅色がのぞいています。
が、そんな肌の色は写真に写せず、ちょっと諦めました。
うっとりするには、実際にご覧頂いてから。
掌におさまる小ささが愛らしく、何度も注いでは口元へと運んでしまう誘惑を秘めています。きっと。
口縁に小さな窯キズ(ホツかもしれません)あり。(約1×2mm程)
口径約6.5cm
底径約2.5cm
高さ約4cm
● Sold
縄文土器。残欠。
教草として扱っている品の中で、最も時代が遡るもの。
縄文土器の文様は、植物繊維の縄や、竹や貝殻などを、
転がしたり、押し付けたり、引いたりして付けられたそうです。
土の肌や、特に内側(見込み)にくっきりと引かれた線を眺めては、
原始の縄文の時に、
おおらかでありつつも、細やかに線の文様を施すような
繊細な手先や創造性があったことに、想いを馳せてみたり。
口縁に偶然つくられた、指先が引っ掛かけられるようなカーブにも、
魅力を感じています。
ふたつと無いもの。
片方の手で、どうにか持っていられる位の大きさ。
Earthenware〈ancient japanese pottery〉
Diameter 9cm
Height 5.5cm
Price: please contact
ものたち 食器類、道具類を更新しました。
今度の出店(21日)には、こちらへ更新した以外にも、食器類が多くなりそうです。
(多いと言っても、1番多いのはどうしたって布たちです。。)
そのほかハギレ、絹もの、素材、など、当日の天候次第で調整させていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
(棗)
(茶碗)● Sold
(行灯皿)● Sold